日商簿記1級合格までの道のりとその勉強法について
日商簿記1級は、日商簿記2級の上位に位置する資格です。試験科目は商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算の4科目から構成されます。
この簿記1級ですが、試験範囲が広く、合格までにかなりの時間がかかります。一般的には800~1200時間くらいなのでしょうか。
僕は、第152回試験で運良く合格することができましたが、勉強開始から2年と3ヶ月が経過していました。
ここでは、簿記1級試験合格までの経緯と最短ルートの合格方法を自分なりに考察します。
簿記1級合格までの道のり
簿記1級受験の目的
僕が簿記1級を志したのは簿記2級を取得できたこともありますが、職種が経理であることが大きいです。
社会人1年目の11月に2級を取得しました。
2級は5月くらいから勉強を始めたので約半年間の勉強で済みました。
大学で簿記の授業を取っていたことと、当時の2級試験の難易度が現在よりも低かったこともあり、比較的すんなりと合格できました。
(なお、現在の日商簿記2級は試験範囲が拡大し、難易度が相当上がっていますので、ご注意ください。僕が受験した時は連結会計などが2級の範囲ではありませんでした。そういう意味では運が良かったですし、これから受験される方々とは単純比較ができません。)
2級は取得できたものの、経理でなくても簿記2級くらいは取得している人も少なくありません。
これからの時代、食っていくためには経理としても他の人と差別化を図る必要があると個人的には考えていましたので、2級合格後、すぐに簿記1級の勉強を開始しました。
簿記1級合格までの勉強時間
勉強時間を記録していたため、以下に示します。
合計1344時間です。
①1回目受験期
当時僻地工場にいた僕は、通信講座での勉強を選択しました。受講料が大手スクールと比較して安いのと、そもそも僻地なので、スクールに通えない、といった事情があり、そうしました。
受講したのは「柴山式簿記1級対策講座」です。
テキストとDVDが送付されてくるので、それを見ながら勉強しました。
「柴山式簿記」の趣旨は、要点を絞ったテキストと解説で、超短時間でインプットを完了してアウトプット(問題演習)の時間を多くとるというものです。
メールで質問をすることもできるので、通信講座だから理解できない、ということはないと思います。
500時間の勉強で合格できる、という触れ込みだったため、その通りに行動して500時間以上勉強しました。笑
しかし、結果は不合格。
思うに500時間で基礎問題の刷り込みと過去問演習を完璧にこなすのは無理な気が…
とはいえ、そこは自分の実力不足と考え、結果発表後に再度勉強を開始しました。
原価計算では20点/25点を獲得し、落ちはしたもののこの頃はそれなりに手応えがありました。
ちなみに、一回目の受験を終えた後の記事が以下になります。
②2回目受験期
1回目の受験の時も、もともと一発で合格したら相当ラッキーくらいには思っていましたが、受験(11月)を終えた12月以降、予算業務で忙しくなってしまい残業が増えたのと、直前期に月に130時間程の勉強をしたお陰でその反動も大きく、何もやる気が起きない時期がしばらく続きました。
予算業務が一段落した2月から、勉強を再開しました。柴山式簿記の触れ込み通り、インプットの時間はかなり短く済んだので、基本的には過去問演習を中心に勉強していましたが、ここで事件が起きます。
4月末に異動の内示があり、これでやっと東京に帰れると思っていた私ですが、なんと、蓋を開けてみれば、結果は希望とは全く異なる部門・配属地でした。
ここで私のモチベーションが0になりました。。。
最初は工場配属があることは知っていましたし、そのことには納得していましたが、その次は納得できませんでした。異動希望が叶う人と叶わない人の心理的な差って本当に大きいと思います。配置理由も説明を求めましたが曖昧であり、納得できませんでした。
そして、6月の受験を控えながら、5月の勉強時間が「0」になります。
直前期なのに。笑
この時期は本当に何もやる気が起きず、試験当日も、確か受験票を忘れました。2回目の受験の結果は悲惨なものとなりました。1回目の受験よりも点数低かったです。40点台前半くらい。
③3回目受験期
この時点で1年程の勉強をしていましたが、経理であることもあり、簿記1級の勉強が経理実務に役に立つことがあることも肌感覚でわかってきました。
異動した直後、このまま過去問を中心とした演習を続けても良かったのですが、試験範囲の中で理解しきれていない分野も少なからずあり、改めて純粋に勉強し直したいと思った時期でもありました。
よく言われることですが、簿記1級の試験に合格するためには「暗記型」の勉強ではなく、「理解型」の勉強が必要です。
そして、理解していないと、結局実務では使えないのです。
そうしたこともあり、大手スクールであるTACに通い始めました。
一度1級講義を受けた人達用に、演習と頻出論点を中心とした講義をしてくれる講座があり、これを選択しました。通信講座でインプットはある程度行っていたので、初学者用の講座を取る必要はないと判断しました。
今思うと大手スクールの講座に参加して本当に良かったと思います。
解説や配布される問題が良質であることもありますが、何より周りで自分と同じように頑張る社会人の皆さんの存在を感じることができました。
この講座では、平日のどこか1日で本番さながらの問題演習の時間があることに加え、日曜は要点解説があったため、この復習に加え、過去問演習を行いました。
直前期はTACの答練(本番さながらの予想問題を時間を図って解く)にも参加しました。
流石は大手スクールといったとこでしょうか、このおかげで理解度はかなり向上しました。論点ごとの解法も身につけ、得点力は向上したと思います。
実際、試験直前の模試でもA判定を取ることができました。
「このままいけば合格できるぞ…!!」
そう思いました。
しかし、3回目の受験も失敗に終わります。
本番では、原価計算で問題文を勘違いして解釈し、ほとんど点数が取れませんでした。
これに加え、対策の甘い分野(具体的に言うと「予算編成」が久々の出題でした)が出題されたこともあり、厳しい戦いとなってしまいました。
工業簿記も計算量が多く、取らなければならない原価計算が明らかにとれていないという焦りから、こちらもミスをしてしまいました。
得点は以下の通りです。(第150回の簿記1級試験です。)
商業簿記 15
会計学 11
工業簿記 18
原価計算 7
(合計51)
原価計算酷いっすね笑 普通に足切りです。第1回目の受験の時には原価計算だけは20点以上の得点ができていたのに、こういうのは簿記1級の怖さだと思います。
工業簿記は18点と、点数自体は悪くないですが、これは相当傾斜がかかっていると思います。満点を目指さないといけない内容でした。
会計学は論述問題が久々に出題され、得点が伸びませんでした。
(個人的な見解ですが)会計学は出題論点による運の要素も強いため、今後の対策としては、商業簿記でケアレスミスをなくし、工原で、より基本的な問題を重視した対策をしようと決めました。
④4回目受験期
4回目の受験は、答練だけ受けられる講座を受講しました。既にTACで講座を受講していたこともあり、割引がききました。受講料は2~3万円程で済みました。
過去問演習と3回目受験期に受講した講座で配布された演習問題に加え、穴をつくらないために、基本テキストの例題を重視した学習をしました。
平日に1~2時間くらい演習し、土日は4~5時間くらいずつ勉強するというサイクルを回し続けました。
休日は、物理的には、より勉強時間を増やすこともできたと思いますが、勉強ばかりしているとそもそも簿記1級自体が嫌になってしまうため、あえて抑えました。集中力も続かないので。
3回目受験期で理解度が向上したこともあり、この時期には実務でも簿記1級の知識を活かした説明ができるようになってきていました。
過去問も、もう何周も回していたため、解いた後に解説を見なくても中身がわかるレベルまできていました。
第1回受験期の頃には、過去問の解説の意味がわからず、何時間も解説とテキストを行ったり来たりしていましたが、ここまでくると、そのような時間はほとんどなく、ひたすら演習を回しました。
また、ケアレスミスは通勤電車の中で確認できるように、スマホにメモをして毎日見るようにしました。
試験直前の模試の判定はB判定でしたが、ケアレスミスさえしなければ合格できるはずだ信じて追い込みをかけました。
そして、迎えた本番の点数がこちらです。(第152回の簿記1級試験です。)
商業簿記 19
会計学 16
工業簿記 16
原価計算 20
(合計71)
ギリギリ…!!!
しかし間違いなく合格でした!!流石にこの時ばかりは相当嬉しかったです笑
簿記1級に合格する勉強法
①社会人勉強の心得
長く付き合う前提で考えたほうが楽
そもそも社会人の勉強の仕方というのは、学生時代のやり方とは少し異なる捉え方をした方が良いのかもしれません。
中3とか、高3の一年間て、それまでと異なって爆発的に勉強しませんでしたか?
特に高校・大学受験等はそうなりがちですよね。
もちろん賛否はあると思いますが、学生の受験はそれでいいと思うんです。浪人しない限り、一発しかチャンスはありませんから。(僕は浪人しましたが。笑)
僕の今回の反省は、①第1回受験期の後に完全に燃え尽きてしまったことです。仕事をした上で、130時間/月の勉強って、尋常じゃないです。
グラフ再掲します。
130時間/月勉強して、これでダメだった時の反動はかなり大きいんですよね。
もうほんとにやる気起きないというか。
でも実際、簿記1級の試験自体は、究極的には何回でも受けることができるわけです。受験とは違います。
だから、やるべきことを感情的になり過ぎずに淡々とこなすというのが大事なのかなと思います。
あまりに短期間で合格したい想いが強すぎると、問題演習でさえ、その結果に一喜一憂してしまいますが、ある程度長く付き合っていく前提で勉強していると、意外と冷静にやるべきことをこなしていくことができると思います。
実際③~④期は①と比較しても勉強時間はそこまで多くないですが、感覚としては安定して勉強に取り組むことができました。何というか、勉強が習慣化されて、勉強することに対して何も感じないというか…(ロボットみたいですね…笑)
学習初期である①の期間から②にかけて、間があいてしまったことで、せっかく①の期間に詰め込んだ記憶が定着せず、二の足を踏んでしまった感は否めません。
この時期の勉強時間を間を空けずに平準化できていれば、3回目くらいで合格できたんじゃないかな~と反省しています。
仕事やプライベートで勉強どころではないこともある
理想の勉強計画を立てたとしても、急に仕事が忙しくなったり、プライベート がうまくいかなかったり等、人生とは予測のつかないものです。
前述したように、僕も予期せぬモチベーションダウンを経験しましたし、職場のいさかいに巻き込まれたりしたこともありました。
社会人は、学生時代と比較して、安定して勉強時間を確保することが、圧倒的に難しいです。よって、不測の事態もあることを肝に銘じ、何かあった時には、臨機応変に計画を修正するということも大事かと思います。焦って当初の計画通りに勉強を進めようとすると、仕事もプライベートも総崩れになる可能性があります。
簿記一級は、一般的には800時間~1200時間と言われているようですが、実際、僕は1300時間以上かかりました。人との対比はアテになりません。自分のペースで継続して取り組み続けるのが大事だと思います。
ちなみに、僕はTACの答練には2回参加(前述③期と④期)しましたが、多分、簿記一級って、途中であきらめてしまう人が多いです。合格率10%程度の試験ですから、答練を受けてた人も、ほどんどが不合格なはずなんです。
もし、一回目の受験が不合格であっても、合格をあきらめていなかったら、その次の回の答練だけは受講してくると思います。割引もきいてお得なので。(もちろん、全員ではないでしょうが)
しかし、私の感覚では、1回目の答練と2回目の答練ではほとんど受講メンバーが被りませんでした。2割くらいでしょうか…。よって残りの8割は、1回目で合格したか、合格を諦めたか、のどちらかということになります。繰り返しますが、簿記1級の合格率は10%程度ですので、合格した人よりも、諦めた人の数のほうが多いことは間違いないと思います。
モチベーションが続かなかったり、不測の事態の発生などがあって、やめたくなる気持ちはわかりますが、合格するためには継続するしか方法はありません。
SNSの活用
SNSはうまく活用した方が良いと思います。
例えば、Twitterを使うことによって、自分の他に頑張る人がいることを感じることができます。会社の人で、現在進行形で簿記1級を勉強している人は僕の知り合いにはいませんでしたが、Twitterの世界には同じ志をもって勉強に励む人がいました。
同じような理由でスタディプラス(スマホアプリあります)も使えます。僕も途中から使っていました。
3回目受験期で、3回目の不合格を僕が目にした時、Twitterでは、それとは裏腹に、やはり合格報告されているアカウントも少なくありませんでした。しかし、その多くの方々が、前回試験で惜しくも敗れ、勉強を継続した人達でした。
60点台後半で不合格となり、それでも勉強を続け、合格を勝ち取った方も中にはいました。
でも、簿記1級ってそういう世界です。
その層と本気で戦わないといけない世界なんです。
たかだか40~50点台で落ち込んでる自分なんかとは次元が違うと思いました。2年、3年選手、平気でいます。
でも、そういう2~3年越えの人たちが多いと感じることができからこそ、4回目まで心が折れずに受験できました。SNSはやり過ぎは禁物ですが、うまく使えばモチベーションの維持に利用できると思います。
②大手スクールか通信講座か
僕は最初、通信講座を受講しましたが、近くに大手スクールがあるならそちらをおすすめします。
まず、問題の質が良いです。
大手スクールならではの過去問研究力は、やはり侮れません。
その問題を解けば、類似論点はすべて復習できる、という問題を平気でつくってきます。
また、簿記1級の過去問の中でも難易度の高いものは、基本テキストだけやっていても、解けません。
特に、連結、企業結合、株式交換のあたりは、過去問で頻出する割には、解説だけ読んでもチンプンカンプンでした。笑
最新の過去問も分析し、それがある程度解けるように解説をしてくれるのは大手スクールの良さだと思います。
さらに、大手スクールの良さとして、自分と同じように勉強に取り組む人を身近に感じられるということも挙げられます。
個人差があると思いますが、通信講座だとなかなかモチベーションを保つのが難しい気もします。
③テキストと過去問のバランス
過去問はやった方が良いですが、誰も予想しなかった分野から出題されることが少なくないのも簿記1級の怖さです。
「何十年ぶりの出題」
簿記1級では普通にあります。
出題者は相当性格が悪いです。
僕は、過去問は10年分はカバーしてましたが、それより前となると、なかなか手はつけていませんでした。
3回目の受験は、過去問に比重を置き過ぎて失敗しました。必ず満遍なく基本例題をやるようにしましょう。
模試等の問題は良質でよいのですが、それにこだわり過ぎて基本例題を疎かにすると足元を掬われます。
僕が使用したテキストは以下の3種です。
1.過去問題集(TAC)
言わずと知れた過去問題集です。解説が詳しいです。
時間を図って本番形式で過去問に取り組むときに使いました。
2.日商簿記1級 誰でも解ける過去問題集(ネットスクール)
テーマ別に解けるようになっています。
商会については10回以上解いた問題もあります。
スキマ時間でも取り組める構成になっているので、苦手潰しに最適です。
3.合格テキスト(TAC)
結局このシリーズの解説が一番しっくりきたかなぁと…。
基礎力をつけるためにこちらのテキストの例題を直前まで解いていました。
なお、4回受験すると身をもって体感しますが、簿記1級の本番の試験はかなりの得点調整(しかも、大抵プラスサイド)が行われます。よって、基本問題さえミスなくできれば必ず合格できます。これは、断言できます。
過去問(TACの過去問題集)も、10年分解きましたが、3~8周ほどです。
バラツキがあるのは、特殊な出題や、難易度の高い問題はそこまで繰り返していないからです。それよりも、テキストに載っている基本問題に注力すべきです。
過去問はもちろん、時間を測ってやりますが、何回やっても捨て問にせざるを得ない問題が、中にはありました。
よって、結論としては、過去問は当然やるべきですが深追いは禁物で、大事なのは、基本的な問題をミスなく解答すること、ということです。
簿記1級お役立ち情報
最後に、簿記1級合格に役に立つ情報を掲載します。
①退職給付会計ワークシート
退職給付会計はこれをマスターしてください。大手スクールでもこのサイトの解法の説明はありませんでした。一度マスターすれば、退職給付会計を得点源にすることが可能です。超オススメです。
②プロフェッショナル簿記
pro-boki.co
退職給付ワークシート(①)の掲載元です。退職給付だけでなく、個別論点の解説や、過去問の解説もあるため、空いた時間によく読んでいました。大変お世話になりました。
②パブロフ簿記1級理論
会計学の理論問題はこのアプリをやれば十分です。有料ですが、1000円もいかないですし、空き時間にサクサク進められます。
④聞いて覚える「原価計算基準」
原価計算基準を聴きながら通勤します。毎日聞いていると、特に覚えようとしなくとも、穴埋め問題で勝手に単語が思い浮かぶようになってきますよ。工原の理論対策はほぼこれしかしてません。
以下リンク先に記載のドルフィンブラウザを使用する方法でyoutubeをバックグラウンド再生するのがよいと思います。これで移動中にyoutubeをきくことができます。
まとめ
・淡々と勉強に取り組もう。
・継続できるレベルで計画を立てるとよいです(無理は禁物。臨機応変に修正。)
・個人的には大手スクールに通うのがおすすめ。
・過去問と基本問題を満遍なく行うこと。
以上、応援しています!!
▼最後まで読んでいただきありがとうございます!スターやツイッターなど、ポチッと押していただけると大変励みになります!
メーカーの管理会計業務の内容を実務担当者として赤裸々につづりました
「管理会計」は社内向けの会計報告だと一般的には言われています。
でも、就活とか、転職を考えたときに、「管理会計の仕事」と言われても、何だかピンと来ないですよね。
僕は現在、管理会計の業務に従事しています。
この記事は、管理会計に興味がある人や
「実際何やってんの?」と思う人向けに書きました。
そもそも管理会計とは?
企業会計は、管理会計の領域と制度会計の領域にわけることができます。
管理会計は、会計情報を、経営層や意思決定者に対して報告し、事業運営に役立てることを目的としています。
社内向けの会計報告です。
制度会計は、社外向けに会計情報を開示することを目的としています。投資家とか向けですね。こちらはオフィシャルな数値なので、会計士に監査されますね。
管理会計担当者は、その性質上、事業戦略や事業運営と関わりが深くなります。
では、管理会計担当者は実際には何をしてるのでしょうか?
メーカー管理会計担当者の業務領域
1.予算実績差異分析
月次で行う業務としては、予算と実績の差異分析を行うことが挙げられます。
予算策定時に想定していたことと、現実とのギャップを把握することで、
経営者は次の一手を打つことができます。
担当者としては、様々なKPIをチェックし、
予算となぜ乖離があるのかを把握して簡単なレポートを作成することが業務としてあります。
KPIとは、業績指標のことです。
売上、営業利益、在庫、固定費、原料費推移、投入原料価格、為替、販売量、生産量、単位あたり平均販売価格・製造原価etc...
メーカーは管理すべき指標が非常に多いです。
在庫もない、大型の設備投資もない、といった会社もあると思うので、
それに比べると管理項目は多いですね。
数値同士を計算して算出するようなKPIもあります。
売上高営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上
在庫回転率 = 年間売上 ÷ 平均在庫金額
などです。
在庫回転率は当社では使用していませんが、「年間」を「上期」「下期」で分けたり、会社によって色々できそうです。
これに加え、利益であれば、販売数量差異、販売価格差異あるいは、
操業度差異などというように、販売量や生産量を使用して、
差異による金額を算出することもあります。
この分析を行うことによって、例えば、販売量の差がどれだけ金額的に影響を与えているか、など、金額的なインパクトを算出することができます。
差異分析をして、報告資料を作成する際には、
全社的な指示や方針に対して、どれだけアクションしたか
ということが重視されます。
販売量を増やしていく方針であれば、
販売量に関する報告をあげる必要があるでしょうし、
高付加価値化を推進する方針であれば、
全体の販売数量のどれくらいの割合が付加価値品であったか
報告する必要があるかもしれません。
このように、管理会計担当者は、短い報告の中に、
事業の実体と全社方針との差異を記載する必要があります。
何のKPIを重視するかは、会社や事業環境の変化によってかわります。
よって報告の仕方もこれに伴って変化することになります。
この辺りがAIには難しい部分であると思います。
2.生産計画
営業、生産、技術など、社内の様々な人間とやりとりして、
生産量を決定します。営業側と工場側との調整役ですね。
基本的には、生産量を増加させると、単位あたり製造原価は安くなります。
しかし、製品をつくりすぎて在庫のまま眠らせておくのは良くないことです。
在庫として製品を眠らせておくのは、本来であれば設備投資などに回せたお金を、売ること以外は何にも使えない在庫の状態にしたまま置いておくということなのです。
よって、管理会計担当者は
営業が売る分だけを工場に生産してもらうことが大切です。
多くの営業の人と話をして、工場と合意を得なければなりません。
実はこれ、なかなか難しくて、工場は、営業に言われたらその分製品をつくらなければなりませんが、他製品とのバランスや修繕・定期点検・予算との兼ね合いもある上に、売れなくて在庫として保持していると、フォローされてしまいます。
「つくりすぎだぞ」と。
しかし工場からすると、
「いやそれは営業が売るって言ったからですわ!!」
となるわけです。
この調整はなかなか難しいです。
まあ、ベテランになると営業がつくりたいといってきても
しっかりと説明できなければ簡単には応じないということも
できるようになりますけどね。
また、人によっては、標準原価の策定もします。
標準原価とは、簡単に言うと、原価の目標値です。
標準原価も生産量をどう考えるかによって、金額が大きく変わるので、メーカーでは生産計画は非常に大事な業務になります。
3.予算・中期経営計画作成
予算損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書といった、
財務諸表の作成だけでなく、
予算販売量・販売価格・生産量・在庫金額、各種KPIなど
に対しても予算を設定します。
管理会計担当者としては、
事業方針が数字に表れているか、
整合性がとれているか、
などの内容の精査が必要です。
例えば、
「足元では原料価格が上昇しているため、来年度は製品値上げを徹底する」
という方針があったときに、
営業や関係会社が提出してくる数値データは、
販売価格が上昇していなければおかしいですよね。
値上げするんですから。
よって、予算売上高を予算販売量で割った数値(=平均販売価格)は
昨年度よりも上昇しているはずですが、
実際に数値を確認してみると、価格が下がっていたりするのです。
そんな簡単なことなのにほんとにあるの?
と思うかもしれませんが、実際結構あります。
予算をはじめとした経営計画の策定は、策定のために、厳密にスケジュールが決まっていることが多く、営業や工場の方々も、すべての数値データを確認することは実は難しかったりします。
前述の例でいくと、実際には、価格の低い定番品種の数量の増加も多いため、
高価格帯製品群では値上げを図っているものの、
平均すると、販売価格は前年より上がらない、
といったこともあります。
この辺りを、きちんと説明出来れば良いのですが、
「経営方針」と「数字」が一致していないことは、往々にしてあります。
工場間で設備を移管するときに、
減価償却費はそれ想定した数値(移管する側では償却費がその分減少し、移管される側では償却費が増加する)になっているか?
設備投資や固定費は全社的な方針に沿った数字となっているか?
原料価格や為替の変動、労務費の上昇率等の前提条件をどうみているか?
など、管理会計には様々な切り口があります。
これらは、基本的に社外には数値として開示されません。
また、1つの製品を1つの工場でつくるだけなら良いですが、実際には様々な製品を、別々の工場でつくることが多いため、関係者間で、事業環境の認識が一致しているかどうかという問題もあります。
製品Xを売っている関係会社Aと関係会社Bがあったとします。
A社は「X製品に関する事業環境は厳しく需要は縮小傾向」と言ってるのに、B社がX製品の販売量を増やす予算を提出してきたら、おかしいですよね?
この辺りの調整も管理会計担当者の仕事となります。
4.プロジェクト対応
管理会計担当者は、社内で並行して実行されている様々なプロジェクトにも対応しなければなりません。
内部利益率計算、損益分岐点計算、最適セールス・ミックスetc…
会社で何かを始めるときは、必ず数字的な裏付けが必要となります。数字がないと誰も納得してくれないからです。
計算自体は難しくないです。
社内で公式が決まっていたり、Excelで自動計算できたりもするので。
大変なのは、プロジェクトに関する議論を
どういう方向でコントロールするか
落としどころをどこにもってくるか
なについても考える必要があることです。
プロジェクトにもなると、関係者が複数存在していることが普通です。営業、生産、技術の人たちなどですね。
だいたいこのようなプロジェクトものは
「現状認識」から話が始まることが多いです。
そうすると、管理会計担当者は、
事業に関する過去の数字の集計やデータ収集を任されます。
事業戦略には様々な切り口があります。
会社ごと、工場ごと、得意先別、製品別…
合計した数字は一緒でも、
その内訳をどう見せるかは、プロジェクトによって異なります。
これも、最初から決まっていればよいですが、
中には現状分析のやり方は丸投げみたいなこともあります。
(当社では、だいたい主犯は経営企画の部署です。)
「現状分析」をしたあとは、プロジェクトをしたことによって、何がどう変化するのかを数字に表現する必要があります。
「将来の展望」みたいな部分です。
現状分析については、過去の実績数値があって、それは動かないものですが、
「将来」のことは、実際には誰にもわからないため、
この数字に説得力を持たせるのは、場合によってはなかなか難しいこともあります。
そうしたときに、事業をどう切り分けるのか、ということに立ち返ることもあります。
このあたりのコントロールも、
管理会計担当者の業務領域になってきます。
管理会計担当者のメリット
管理会計担当者は、会社の事業戦略や事業環境、事業の考え方などの情報にいち早く「触れる」ことができます。
例えば営業担当者であれば、自分の製品の需要や動向には詳しいでしょうが、全社的な方針や考え方を知る機会は少ないと思います。
制度会計の担当者であれば、会計的なこと、例えば仕訳の方法や、会計基準の動向などには詳しくても、各事業の事業環境についてはほとんど何も知らない、といったことはよくあります。
人事部や総務部などといったスタッフ部署も、この傾向があると思います。
管理会計担当者は、
事業環境を数字に落とし込む必要があるため、必然的に、事業運営には詳しくなります。
営業や技術、管理会計担当以外の管理スタッフなど、会社全体の方針や事業運営に関わってくるのは、彼らが管理職になってから、ということが多いのではないでしょうか。
管理会計担当者のデメリット
正直なところ、裁量がないうちは事業方針に「影響を与える」のは相当難しいです。
これまで、管理会計担当者は事業方針に「触れる」機会は多く、それがメリットでもあるということを書いてきました。
ただ、「触れる」のと「影響を与える」は全く別物です。
当社では、管理会計周りの部署は、
「理想と現実とのギャップが大きい部署」であると揶揄されることもあります。
特に若いうちは、就活で少なからず意識高い系へとなっていることもありますので、管理会計の部署に行きたいという若手も、当社では少なくないです。何度も繰り返している通り、管理会計の部隊は、会社の事業戦略に携わることができるためです。
ところが、実際に入ってみると、担当者レベルでは、関係者との調整や、資料作りなどの方が圧倒的に多く、事業方針や事業環境をほかの人よりもいち早く知ることができる一方で、ポジションによっては、「自分には何もできない」と無力感を感じてしまうこともあり得ます。
うまく調整できないと、文句も言われます。笑
決定権がないうちは、なかなか面白さを見出せないこともあるのではないでしょうか。
制度会計畑を歩んできた先輩には、
「管理会計の部署には(裁量のある)管理職になってから行ったほうがいい」
と断言する人もいます。
一方で、管理会計の領域で下働きをしている僕としては、制度会計ばかりしていると事業の考え方や切り口を知る機会もないため、その状態で裁量を与えられてもなかなか判断は難しい気はします。
実際、僕も工場経理をしていたときは、制度会計寄りの業務が多かったのですが、
会社全体の事業戦略などについて、実のところあまり興味がなく、
(というかそれを知る機会がほぼなかった)
今の部署に来てから自分の無知さを痛感しています。
この辺りは一長一短といったところでしょうか。
まとめ
メーカーの管理会計の中身は会社によって大きく異なると思いますが、
期待されている役割は、大体一緒なのではないでしょうか?
調整役としての立ち回りが必要になってくると思います。
管理職になって裁量が与えられると、また違った景色がみえるのかもしれませんね!
▼最後まで読んでいただきありがとうございます!スターやツイッターなど、ポチッと押していただけると大変励みになります!
社会人として就活生と面談を繰り返した結果当時の自分にいってやりたいこと5選
数年前に就活を終えた僕でしたが、今年は会社側の人間として、就活生と面談する機会が何度か与えられました。
いわゆる「面接」ではないので、カチッとした感じではなく、カフェで1時間くらい喋るだけです。社員と話をする、OB訪問みたいなやつです。
就活生の中には多少気を抜いてしまっている方もいましたが、
大抵の場合、これも選考の1ステップです。
僕は経理系の仕事をしていますが、僕だけでなくて、職種に限らず、多くの社員が動員されて、就活生と面談をします。
社会人として面談する側になると、色々と思うこともあります。
ここでは数年前就活生だった自分に言ってやりたいことを5つ挙げてみました。
- 1.質問はある程度考えていこう
- 2.自分のことは論理的に話せるようにしよう
- 3.受けてる企業すべてを正直にいう必要はない
- 4.志望度が高いことを伝えるのは大事
- 5.会社に期待しすぎないようにしよう
- まとめ
1.質問はある程度考えていこう
まず、面談といっても、会社が設定してる以上は、選考の1つのステップです。
当社の場合は、僕ら一般社員の面談の中で、評価の高かった就活生から順に、人事面談に呼ばれていきます。
もちろん、説明会や事前の案内の中では、
「社員と気軽に話して当社の雰囲気を感じてください」
といったラフな説明を受けるかと思います。
ただ、繰り返しますが、多くの場合、
会社が設定した1対1の面談では、なんらかの評価が行われている可能性が高いです。
絶対に油断しないようにしましょう。
この観点からすると、やはり、質問はある程度考えてきた方が良いです。
色々評価項目(例えば、「リーダーシップがある」とか)がある中で、「積極性」があるかどうかは、質問をしてくるかどうかである程度測れるからです。
その他の評価項目は、ぶっちゃけ話しただけではわかりません。笑
仮にいくらリーダーシップとかの話をされても、嘘かもしれないですしね。
これに対して、「積極的に質問をしてきた」というのは事実として評価できる項目になります。
自分が就活している時は全く考えませんでしたが、質問を積極的にできるかどうかは、就活生の間で意外と明確に差がでるなぁと感じました。
2.自分のことは論理的に話せるようにしよう
自分が一生懸命書いたエントリーシートね。あれは、やっぱり面談相手には回ってきていると考えた方がよいです。
まあ、僕が就活してる時は、全く何も知らない、といった社員もいたので、会社間で差はあるとは思いますが。
(それか忙しすぎて見てないという可能性もあります。)
いずれにせよ、自分のことについて質問される可能性は大いにありますよ。
社会人の方も、ある程度はその就活生の情報を引き出す必要がありますから。そういった時に、論理的に話せないのは致命的です。
こっちから聞くことなんて、
「サークルとか部活は何やってたの?」
「バイトは何してたの?」
などといった、簡単に予想できるものです。
人事でもないし、大抵の人は、トリッキーな質問はしません。
(僕のような一般社員がそんなことしても意味がないです。
もちろん、人に寄りますが…)
例えば、エントリシートに部活のことが書いてあって、「どういう風に頑張ったの?」と聞いても、ただ時間かけて努力しました、だけだと、何も伝わってこないんです。
論理性、というのは、「AだからB」という説明が、しっかりとできるかどうかで測ることができます。
そして、これに加えて、自分の話を
「ストーリー」として話せる就活生は強いと思います。
その時、何を考えて、だから、どういった行動をしたのか。そして、それがどんな結果を生んだのか。
自分がその時感じた感情や考え方も合わせて話せると強いと思います。もちろん、それが社会に出た時にも活かせることが大事です。
(就活で自分の強みを語る時に大事なのは「再現性」です。御社に入った時にもその強みをいかせますよ、というアピールが大事です。)
自分の話さえ論理的に出来ない人は、
やはりほかの就活生と比べると劣ってしまうと思います。
ある程度エントリシートを添削してもらったり、面接の練習して話し方を考えてる人は、大丈夫だと思うんですが。
そんなに難しいことではないと思いますよ!準備が大事です。
3.受けてる企業すべてを正直にいう必要はない
繰り返しとなりますが、会社の人間として話す以上、就活生の情報をある程度引き出す必要があります。
その時に結構大事なのが、
「ほかにどの企業を受けているか」
ということです。
個人的な意見ですが、
これ、馬鹿正直に受けてる企業すべてをいう必要はないと思います。
例え相手が(人事ではない)一般社員でも、その面談で、ほかに受けてる企業を話してしまったら、その情報はかなりの高確率で上の人に上がっていきます。
人事が知りたいのはまさにこの情報だからです。
会社からしたら、採用したのにほかの企業に行かれてしまう、という事態は避けたいんです。
例えば、メーカーの採用担当者であれば、総合商社を受けている就活生を色眼鏡で見てしまう可能性があります。
総合商社に内定が貰えた場合、事実として、メーカーではなく商社に行ってしまう人が多いためです。
(これは採用担当から直接聞きました。)
また、基本は金融業界を受けているが、メーカーも数社みています、といった時に、「ではなぜうちの会社なのか?」というのが面談している側からすると気になります。
「メーカーは第一志望群ではないのか…?」と邪推してしまうこともあるためです。
この場合は、きちんと説明できれば問題ないですが。
特に、いま、面談している会社が、
「本当の第一志望」
ではない場合、
その企業より志望度が高い会社を受けているかことを、正直にその会社に伝えてしまうと、後々になって困るかもしれません。
この辺はしたたかに考えていってもよいと思います。
4.志望度が高いことを伝えるのは大事
今の時代、海外経験がある人は強いです。
留学とか帰国子女とか。
でもそういうのって、お金がないといけなかったり、環境の問題もあったりで、僕みたいな一般ピーポーは、多くの場合、そうはいかないわけじゃないですか。
そういう時に、どうやってそいつらと差別化するか。
やっぱり志望度なのではないかと思います。
志望度の高さは申し送り事項として記載する欄がありました。
僕ら一般社員は、就活生が「第1志望」といったら、よっぽど怪しいと思わない限り、そのまま申し送り事項としてその情報を上にあげます。
事実、就活生がそういってるわけで、もし嘘ついてたらその就活生のせいでしょ!
と多少は開き直れますので。笑
何人も面談してると、印象に残る子とそうでない子にも差があります。志望度が高い子はそれなりに印象に残る可能性があります。
なぜなら志望度が高いことをはっきりと伝えてくる就活生は意外と少ないからです。
まあ当社では一応「面接ではない」という体なんで、面接でもないのに志望度を伝えるのは如何なものかと就活生からしてもおもうと思います。
ただ、個人的には、やはり志望度が高いことは伝えるべきと思います。(嘘でも)
ていうかこれ、就活生はみんな悩んでますよ。笑
もちろん志望度は高いが、本当の第一志望は1つしかないわけで、そんな時でも、嘘でも第一志望と伝えないといけないのか、と。
逆に相談されたこともありました。笑
僕の答えは、「第一志望というべし」です。
だって、これが恋愛だったらですよ?
相手に失礼じゃないですか。
「君は2番目に好きだけど僕と付き合ってください」
これってめっちゃ失礼ですよね?
だからいいんです、マナーだと思って第一志望と伝えれば。
割り切ってやるべしです。
5.会社に期待しすぎないようにしよう
「もっとイノベーションした方がいいと思うんです!!」
とやたら主張してくる就活生がいました。
いやわかりますよ。
「御社はもっと〇〇した方がいいと思うんです!!」
と伝えてくる学生、います。
熱いですね。
結論からいうと、これ、やめた方がいいです。
就活生のもってる情報と、その会社で働く人が持ってる情報には雲泥の差があります。
実態も何も知らないのに期待ばかりが膨らんで、
夢・幻を押し付けるのはやめた方がいいと思います。
イノベーションの学生は実在の人物ですが、彼にはきちんと伝えました。
実際のビジネスでは、
「誰に何をどうやって売るか」
これが一番難しいのであって、そんな単純なこと、と、思うかもしれないけど、みんなこれで悩んでるんです。
と。
実際、死ぬほど悩んでるんです。
特に僕は管理会計の仕事で、そういう報告資料をつくることも多いですし、実際に会議、報告の場に居合わせることも多いです。
会社の経営方針に触れる機会も多い方だと思います。
イノベーションなんて、簡単に言いますけどね。
基本的なことが、一番難しいんです。
もちろんそれをやりたいという気持ちはわかりますが、会社のことを何も知らない学生が入社してそういう仕事に
すぐにつくのはなかなか難しいと思います。
もちろん、イノベーションしたい、という考え方が悪いわけではなくて、伝え方の問題でもあると思います。
まとめ
僕も就活には苦労しましたが、多くの就活生と話していると、みんな悩んでるんだな、と、少し安心した部分もありました。
学生の時間は貴重なので、就活なんてちゃっちゃと終えて、パーっと旅行にでもいって欲しいものです!
▼最後まで読んでいただきありがとうございます!スターやツイッターなど、ポチッと押していただけると大変励みになります!
経理含むホワイトカラー削減のために業務を外注する選択はそろそろ本気で増えてくると思う
AIや作業のロボット化が叫ばれている昨今、経理業務の一部を外注してしまう会社を見つけました。
経理・人事業務の7割を外注するとのことです。
それにしても「7割」というのはなかなか衝撃的な数字です。
ほとんど外注してるじゃん。
僕も「スーパードライ」にはお世話になっていますがなかなかの辛口判断です。
プレスリリースをよく読むと、外注する業務の具体例としてあげられてるのは会計伝票処理、債権債務管理、などですので、制度会計寄りの作業が多いのかなと勝手に思っています。(あくまでも想像です。)
外部への業績報告がメインとなるのが制度会計
社内への業績報告がメインとなるのが管理会計
「制度屋は今後辛い思いをするかもしれない」
と、言われたことがあります。
海外の企業では、制度会計の分野を外注することが増えてきているため、その流れが日本に来ると、どうしても削減される側、つまり、外注されてしまい仕事がなくなる側、になってしまうということでした。(外資特化型転職エージェント談)
当時、制度寄りの仕事が多かった僕は、「確かに今の仕事、別に他の会社の人でも、手順さえわかればできるな…」と、妙に納得してしまったことを覚えています。
では、メーカーにおける外注の状況はどうでしょうか?
メーカーにおける仕事の削減と言われると、真っ先に思い浮かぶのは工場での肉体労働の削減です。
そして、従来、「固定費削減」と言われると、現場で働く人たちの労務費を削減しようという考えに至る人が多かったかと思います。
ブルーカラー削減の実態
まず、生産効率をあげようとしたり、製品品質を上げるために、最新設備を導入すると、その分人手が掛からなくなることが通例です。当然、その分人を減らす方向になります。
かつて日系メーカー各社はこの手の最新設備導入によるブルーカラーの労務費削減で、大きく飛躍しました。
モノを作るのに人の手が多くかかっていた時代のことです。
最新設備を導入することによって、減らせる人手も多かったのです。
そもそもの人数が多いですから。
一方、近代化の進んだ現代では、人手はほとんどかからない、といった製造現場も珍しくありません。実際僕も、自動化の進んだ工場を少なからず目にしてきました。
しかし、本社からの固定費削減の指示は、毎年やってくるわけです。
「予算対比〇%固定費削減じゃ!!」的な。
メーカーは設備の減価償却費を中心とした莫大な固定費を抱えながら操業せざるを得ないため、固定費管理は至上命題です。(固定費管理自体はとても大事なことです。)
そして、このようなときに工場はどういうことをするかというと、
「作業を外注する」のです。
とはいえ、素人に外注するわけにもいかないので、当社の場合は関係会社に作業を外注しています。
こうすると、管理上、従来、労務費(固定費)であった費用が、かからなくなり、外注先から請求される請負費(変動費)となるため、固定費の削減となるのです。(結局費目のいれくれだろというツッコミは置いておいて…)
おそらくこのようならことは多くの日系メーカーで行われてきたはずです。
ホワイトカラーの削減
ホワイトカラーの削減はどうでしょうか。
これ、実は、まだ多くの企業で進んでいないのではないかと思います。
思うにブルーカラーの削減はもう限界まできています。
AIなどなくても、すでに相当な自動化が進んでいるのです。
よって、 「労務費削減」という観点からすれば、これからのブルーオーシャンは間違いなくホワイトカラーです。
そして、真っ先に削減対象となるのは、我々管理スタッフの業務になると思います。
ホワイトカラー削減の方法
工場現場の人手を削減するには、やはり新しい設備を導入することが一番早いです。お金やスペースのことを考えなければ、ですが。
その後、ある程度自動化が進んできた段階で、簡単な作業は外注するというのが考えられます。完全ではないですが、外注にすることによって、費用をある程度コントロールすることができるようになります。
生産量に応じて、費用をコントロールできるようになる、ということです。
もちろん、人手削減ということ以上に、設備導入によって品質やリードタイム面で競合他社に対して優位に立てることもあるため、好むと好まざると、メーカーは設備導入には相当気を遣っていると思います。人を減らしたくても減らしたくなくても、どちらにせよ、設備導入はしなければなりません。
これに対して、ホワイトカラーの作業はどうでしょうか。
ホワイトカラーの作業はいきなり外注できるんですよね。
というか、その方が早いと思います。
日本企業のほとんどは、AIやRPA(ロボディック・プロセス・オートメーション)をホワイトカラーの業務削減にうまく活用できるほどのノウハウを持ち合わせていません。
そうであれば、そういうノウハウを持った企業にそのまま作業を外注するのが一番早いです。
ブルーカラーの場合、現場には会社特有のノウハウがあったりしますから完全な他社への外注はなかなか難しいですが、ホワイトカラーのほうは、外注すべき作業を見える化できれば、比較的すばやく、AIやRPAに強い企業に外注することができてしまうと考えられます。
ホワイトカラー削減とブルーカラー削減の違い
大抵の会社では、部署ごとに所用人員の数が決められていると思います。
A部署は8人
B部署は12人…
といったように。
ブルーカラーの人員削減にはからくりがありまして、それは、仮に最新設備を導入したとしても、業績が拡大していれば、人を削減しなくても済むということです。
生産量が増えれば、当然、その分人手がかかります。最新設備を導入すれば、その分人手は削減できます。理論上の、設備導入による人手削減と、業績拡大による人手増加がトントンとなれば、人を減らさなくて済みます。
特に日本企業はこういう考え方で操業してきた会社が多いのではないでしょうか?簡単には人を辞めさせられないですからね。
これに対して、管理スタッフの業務は、業績拡大とあまり関係がないですよね。
要するに、「削減しやすい」状態にあると考えられます。
実際、管理スタッフの業務には無駄が多いです。
会社の古くからの慣行、実際に使うかどうかわからない大量の会議資料作成、時代にそぐわない社内ルール等に、時間を費やしている人がたくさんいるはずです。
よって、これからは、管理スタッフ削減を中心に、労務費削減は進んでいくべきです。
僕が工場にいた時、現場の方々は、「たった」10万円でさえ、予定外の費用の発生を嫌がりました。「なんとかしてくれ」と言われたこともあります。
(なんとかしてあげられませんでしたが…)
正直言って、本社の人間と、コストに関する意識が雲泥の差です。
本社の人間は無駄な作業を続けている人(もしくは社内慣行等の諸事情ででそうせざるを得ない人)が少なくありません。
コスト意識も、工場に比べれば、相当に低いです。とくに労務費ね。
コスト意識が強ければ、謎の「あるべき論」で残業時間が増えたりはしません。内定辞退した就活生をわざわざ呼び出して説教したりしません。その時間がコストですから。
こんな人達が、工場に対して「固定費削減!」などと声高に叫んでいるのは大変悲しいことだと思います。
管理スタッフ削減の方向性
管理スタッフの削減には、まず、自社でAIやRPAの運用を進めいていく方法が考えられます。
ただ、これには問題があって、管理スタッフの場合、作業が自動化してしまったら、人が減らされますよねー。
「業績拡大してれば人は減らさなくていいよ^ ^」
とはならないですよね。明らかに。
業績とか生産量や販売量などと、スタッフの業務は関係ないですからね。
そもそも何もノウハウのない状態から作業の自動化を進めるのって結構難しいと思うんですよ。
その上、「自分の仕事がなくなる」と社員に思われてしまうと、なかなか自動化を進めてもらえなさそうです。仮にその社員達を辞めさせるつもりがなくとも、です。
よって、最初からAIやRPAに強い企業に作業を外注しちゃおう!となるのですね。
もちろん、損益分岐点という問題はあると思います。
つまり、自社で人を持ちながら事務作業を処理していくのにかかる労務費を中心とした諸費用と、作業を外注した時に相手会社から請求される費用と、どっちが安いか、ということです。
ただ、外注先で、作業がロボット化していけば、費用はどんどん安くなると思います。対して労務費は、上がる一方です。
年功序列なんで。
僕が経営者なら、外注する方が魅力的にうつると思います。
まとめ
・管理スタッフの仕事は外注しやすくなっていく
・経理でいうと制度会計寄りの仕事はとくに要注意!
外注しやすくなるとはいえ、経理関係のシステムはやはりその会社の経理の人が導入したり、改善したりしていくことが多いです。
ITに強い経理になることが、今後生き残るためには必須条件かと思われます。チャンスがあるなら手を挙げて、そういう仕事に携わっていくことが大事かもしれません!
▼最後まで読んでいただきありがとうございます!スターやツイッターなど、ポチッと押していただけると大変励みになります!
【やる気後進国】大企業で新入社員がやる気を失う3つの理由
日本はやる気のない社員が70%らしいです。
出典は日経新聞です。
これね、新入社員の時って、大抵それなりにやる気あると思うんですよね。
これが、どこかのタイミングでやる気がなくなってしまう。
その要因を考えてみました。
3つの前提
まず、少し前までと世の中は異なっているので前提として整理しておきましょう。
①世の中は「右肩上がり」ではない
当然ですが、高度経済成長はもう2度と日本には起きません。あれは複数のラッキーな要因がたまたま重なっただけですから。平均年収で言えば、平成21年くらいまで10年以上下がりっぱなしでした。最近は少し増えてきたようですが。
②就活戦争の激化
昔と違って何社もエントリーするのが今のスタイルです。そもそもエントリーシートなんてなかったらしいですよ。就活塾といった存在も出てきて昔よりも就活が過熱しています。
③女性進出
男性が専業主婦に支えてもらうというスタイルが大多数だった時代は終わりました。少なくとも終わったのです、若い人の意識の中では。そういう教育を受けてますから。
さて、これらの前提を踏まえた上で、やる気後進国日本の若者の「やる気問題」を考えてみましょう。
1.就活で固めた将来像とのギャップ
激化する就活戦争の中、就活生は、その会社に入って何をしたいのか、何ができるのかを明確にしておかなければなりません。
これができない就活生は志望動機が薄いと思われ簡単に落とされます。
まあ、就活生がいうような志望動機は基本的には薄っぺらいです。
僕も薄っぺらいこと言ってました。
「社是に共感しました!!」とかね。
でも面接側からすると、ですよ。
薄っぺらいのは変わんないんですけど、そいつがしっかり考えてきたかどうかっていうのはある程度わかるわけですよ。
社是いいっすね!!
だったら誰でも言えますけど、
「自分は〇〇という経験をして△△ということがしたい。そのために◻︎◻︎である御社でなければ入社する意味がないんです!!」
こういうのはある程度考えてこないとなかなか論理的には言えないんですわ。
たとえ薄くても。笑
で、まあ、会社の偉い人たちはね。
そんなこと考えないと思いますけど。
就活生って必死ですからね。
考えるんですわ。
文字通り、人生かかってますから。
その会社に入った自分がどう活躍するのか、どの部署に行って何をしたいのか。
必死で考えます。
だってこれ聞かれてうまく答えられなかったら落とすでしょ?
最終面接とか、あれなんて、もう本当に、好みですよね。最終まで何回も面接して上がってくる学生なんて、どれも面接上手でしょうに。
で、そうしているうちに、就活生の方はその会社に入れば、自分が思い描いたものが実現できると思い込むわけです。
そして晴れて社会人になります。
これでやっと自分のイメージが実現できると思うのです。
しかし、現実は希望に沿わない部署への配属や、花形部署に行ったのに、イメージと違った、ということが往々にしてあるんですね。
でももう、就活生って、めっちゃ固めちゃってるんですよ。もう一回いいます。めっちゃ固めちゃってるんです。それこそ誰に何言われようが「自分はこれがしたいです」というのがあって、理論武装してるんですわ。
当然です、なぜならそこまでしないとほかの就活生に勝てない、つまり、そうしないと就職戦線で死んでしまうからです。
で、会社に入ってある程度すると、その部署にいる人が将来どうなるのかっていうのがだんだんとわかってくるわけです。
僕が意外だったのはみんなが行きたがる花形部署に行った人の方が辞めたがる傾向にあることです。
この理由には、一件一件の案件が大き過ぎて、新人には雑用しか回ってこないことが挙げられるようです。理想と現実のギャップです。
部活でいうと、球拾いしかさせない、という感じなんでしょうか。
もちろん、実力がないから仕方ない部分もあるんですが。
固め過ぎた自らの将来像と現実とのギャップを知ってモチベーションが下がってしまうというわけです。
2.会社に入ったら燃え尽きてしまう
昔もそうなのかもしれませんが、今の若い人たちって、
「良い大学に入って良い企業に入る」
ここまではわりとみんな考えるんですよね。
それで、実際それを実現するためには、受験と就活を乗り切らないと行けない。
競争状態に強制的に身を置くことになるため、頑張るしかないわけです。
よって、この、
「良い大学に入って良い企業に入る」
ここまでは、実はみんな漠然と考えてたりするんです。これを目標にそれなりにみんな頑張ります。
でも、実際、社会人になって、今までの目標が達成されてしまうと、次なる目標が見つからないのです。
今は、右肩上がりの時代ではありません。
誰もが出世できるわけではないし、給料だって、頭打ちです。経費削減が叫ばれて、閉塞感が漂っています。
消費税も10%になるような時代ですから。
昔は「俺は部長になるぞ!!」
と次なる目標を見据えて仕事に邁進した人もいたかもしれません。
でも今って、無駄なことはしない文化なので、例えば年賀状のような儀礼的な習慣は、少なくなってきていますよね。
出世を目指すことを無駄、とまでは言いませんが、結局年功序列で、その時にふさわしい人が役職者になるのだから、そもそも遠い先の話だし、偉くなる為に、無駄に残業して評価あげたいとか、そこまでは考えられないと、そういう人が少なくないのだと思います。
そうして、入社した会社の中で次なる目標を見つけることができず、若い人のやる気がさらに削がれていきます。
あまりにも苛烈な受験と就活で「燃え尽き症候群」に似たような状態に陥ってしまうのです。大学全入時代とか、よく言われてますけど、本質は「2極化」ですからね。就活も、面接上手な人に内々定が集まります。だから競争自体は激しいのです。
「燃え尽き症候群」とは、昨日まで頑張れたのに突然無気力になる病気です。ちなみにこれ、厳密にはうつ病の一種ですから笑えないですよ。
もちろん、このように「何もやる気が起きない」となってしまう人は多くはないかもしれないですが、次なる目標を見つけられず、
「なんかおかしいな…」
と日々感じながら過ごす若者は多いのではないでしょうか。
ちなみに、昔は、受験競争のあとは、会社に入って「出世競争」という概念があった気がしていますが、これもそこまでやる必要あるのか?という、儀礼的な習慣を嫌う現代の若者の風潮を表している気はします。
そもそも、そんなに出世に必死な同世代って、少なくとも僕の周りにはあまりいません。
こういうのって、
ピアプレッシャー
が大事だったりします。
仲間からの圧力、という意味です。
勉強とか、スポーツって、
「あいつに負けたくない!」
「あの子も頑張ってるから自分も頑張らなきゃいけない!」
とか、そういう同世代の人間の頑張りが影響を与えてたりするじゃないですか。
でも、今の若い人は会社で基本的にそこまで頑張らないです。そうすると、同世代の人たちから刺激を受けることがなくて、特にモチベーションがあがることなく、日々過ごしていくことになります。
あと、重厚長大の大企業だと、そもそも同世代がいなくて、おっちゃんとおばちゃんしか近くの部署にいないっていうことが容易に考えつきます。
いや、それはそれでいいのです。その中にもものすごく仕事ができる人がいたりして、目標にできる人もいると思うんですよ。ただ、やはり世代が離れ過ぎていると、自分との比較の対象にしにくい、というのはあります。
右肩上がりの、誰もが頑張れば良い生活ができた時代の終焉と、出世競争の意識が低くなってきたことは、昔と比較して相対的に若い人達のやる気がなくなっている1つの原因かと思います。
3.「上司は自分の未来」しかし…
最後に上司についてです。
上司との相性というのはいつの時代も取り上げられてきたと思います。
上司が「最近の」若い人のやる気をなくさせてしまう要因についてここでは考えてみます。
大抵の大企業であれば、課長レベルの人って、30代中盤から40代にかけてくらいだと思うんです。
(ちなみにうちの会社で30半ばで課長はかなり出世が早いです。40代の方が多いです。)
結論からいうと、もうこの年代になると、大抵は会社に染まってしまっています。
よって、最近の若い人が嫌う儀礼的なことも、強制してきたりします(本人は、「強制」というか、良かれと思って「指導」と捉えてると思いますが…)。飲み会翌日の挨拶回りとか、判子を傾けたりとか。
あとは、上司の上司、という存在がいますよね。課長の上には、多くの場合、「部長」というのがおります。
目の前のことではなくて、「上」を見て仕事してるひとは、自分の意見を「上」の人の意向でコロコロ変えますよね。
さっきまでAと言っていたのに、部長にBと言われた途端、末端にもBを要求するような、いわゆる「手のひら返し」です。
これもなんだかかっこ悪いなぁと、思いますよね。そんなんやるんだったら、最初から上司の上司(この場合でいう部長)に聞いてから指示してくれよと。
いや、たまにだったらいいですけど、毎回こういう人っていませんか?
部下にはいい顔をしたいのか、特に考えもせず指示を出し、自分より上の人に別の指示をされたら、大して説明も抵抗もせず、コロッと考えも変えてしまう。
こういうのもですね、若い人からすると、「なんて無駄なんだ…」と思ってしまうわけです。特に自分の作業が終わっていて、その手のひら返しによって、もう一度作業しないといけない時とかは最悪ですね。笑
そして、やっぱり今の40代くらいの人はまだまだ専業主婦文化が強い気はしますね。
男の方が働けると思っている人も多いですし、それが前提で部署異動も考えられてしまうことがあります。
例えば今の20代の人が結婚して、奥さんが働いていたとしましょう。今同じ街に住んでいます。大抵の場合、転勤を伴う異動は嫌ですよね?女性側からしても嫌なはずです。働きたいですからね。
そもそもダブルインカムの方が家計の可処分所得は増えますしね。合理的に考えれば。
まあでもそんなのは上の人からするとあんまり関係ないわけです。自分達もそうやって会社に従ってきたし、離れ離れになるのが嫌なら奥さんを連れてくればいいじゃないかと、内心、絶対に、ほとんどの人がそう思っています。
でもいいですか、我々、そういう教育受けてないですから!!
小学生のときから、あんなに、「男女平等」って、どいつもこいつも言ってたじゃねぇかよ、嘘だったのかよ!!と
で、しかも、就活の時は、
「異動は希望に沿うように考慮します。勤務地ももちろん考慮します。」
とか、絶対いいますからね、人事採用担当者は。
それ、もう一回言ってみろよ。
不本意な転勤を伴う異動をさせられてる人なんて、少なくとも僕の会社には腐るほどいます。
周りの話を聞いててもそうです。
だいたいメーカーと銀行はえぐい飛ばされ方されますから気をつけましょう。これは、どんなに社内政治をうまくやったとしても、避けられません。
上の世代とのこの辺りの考え方のギャップは、やはりありますね。
「上司は自分の将来の姿」とはよく言ったものでして、そういう人達をみて、そういう風になりたいと思うか、というと、なりませんよね。
あとは、なんでか知らないですけど、仕事以外にやることない人多すぎないですか?
最近のキーワードとして「ダイバーシティ」とはよく言われますけど、世の中多様化してるので、平日はなるべく仕事は早く切り上げて、好きなことしたいという人も、たくさんいるわけです。
こういう人たちへの配慮がないので、若い人達は、独身なら特にやることもないだろ!という謎の固定観念によって、
無駄に飲み会に付き合わせ、2次会も付き合わされ、3次会も付き合わされ、散々自慢話を聞かされた挙句、翌日ありがとう周りしないと怒られるとかいう謎のサイクル
が出来上がるわけですね~
怖いですね~
この辺で、もう社会人として仕事したことない人は嫌になってきません?笑
バイトとかだとさすがにないですよね、こういうのって笑
社会にでると普通にあるんですわ、これが。
社会人の人は、「あー、あるある」って感じですよね笑
このようにして、だんだん、「てかそもそも会社行きたくねぇな」となっていってしまうのですよ。
やる気が減退しない世の中へ
企業からしたら、お金を出さずに社員にやる気を出してもらうには、やっぱり「働き方改革」ってことになるんじゃないでしょうか。
ちなみに「働き方改革」が進んでる会社は何らかのプロジェクト体制を敷いていることが多いようです。
残念ながら僕の周りでは、あまりそういう話は聞きませんがね…笑
▼最後まで読んでいただきありがとうございます!スターやツイッターなど、ポチッと押していただけると大変励みになります!
【経理でも経理じゃなくても】「入社1年目の教科書」の中で本当に大事な5つの教え
僕はこの「入社1年目の教科書」を社会人になる前に購入しました。
僕の友人の中にもこのタイミングで買った人が多かったです。
僕の記憶では、ちょうどこの本が注目を浴びていたときでもありました。(ミーハーだったので購入したということです。笑)
実は、入社前に読んで以降、長い間本棚にしまわれていたのですが、久々に読み直して、身に染みた5つのポイントを列記します。
やはり年をとると、感じ方が変わるものです。
入社1年目の方は、以下の5点を重点的に意識すると良いと思います。
1.頼まれたことは必ずやりきる
まずこれ。
この本の一番最初に書いてあるやつです。笑
最初、多くの人が思うでしょう。
「いや、そんなの当たり前だろ。」
と。
違うんです。
ここで重要なのは、督促(リマインド)される前に自主的に仕事をやるということです。
監督せず、進捗を一々確認せず、仕事できる人というのは実は多くありません。
(新人かどうかにかかわらず、です!!少ないのです!)
個人として信頼されたいならどんな小さなことでも、まずは、頼まれたことは必ずやりきるということが大事です。
本書には以下のように記載があります。
いくら成績優秀であっても何度も催促しない限り頼んだことをやってくれない新人に、積極的に次の仕事を頼む人はいません。
「〇〇はどうなった?」
「△△はそろそろやらないとまずいよ」
など、こういうリマインドなしに仕事を進められる人って、意外と少ないんです。
こんなのやろうと思えば誰でもできると思うでしょう?
ところが、いいですか、
社会人になると、常にこの意識(確認されなくても自分でやりきるという気持ち)を保つのが難しいのです。
そこまでしなくても仕事は回りますからね。。
ただ、信頼はされないでしょう。
まずはこのリマインドされなくても任されたことはやりきるということが大事です。
2.情報は原点に当たれ
これは経理をやっている経験からも言えるものです。
本書で出ている事例は、グラフです。
グラフといっても、単位や目盛りが異なっていれば、全く違った見え方がするものです。
「グラフに騙されるな」
と本書では謳っていますね。
会社には情報を見る(確かめる)側と、情報を見せる側と、2種類の人たちがいます。
まず、制度会計に近いことをする人たち。
この人たちは、会社外部に対して正確な会計情報を提供する役目があります。
毎回決まったことをするだけなら良いですが、経理には例外処理というものがあります。
会計システムが対応していないような時です。
このときに、自分の頭で考えて仕訳を切る必要があります。
このようなとき、会計監査六法を読みに行くと、本当に勉強になりました。書いてあることは難しいですが。最初にあたった上司が何か困ったことがあると必ず会計監査六法を確認しに行く人で、それを僕を見様見真似でやってました。まず職場に会監査六法が置いてあるということが、今思うと非常にありがたいことでした。
(6000円くらいします。高いですね笑)
また税務上の処理をする際にも、会社が作ったマニュアルだけではなく、かならず国税庁のHPをみにいって確認していました。
Q&A(タックスアンサー)もあるので勉強になります。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/index2.htm
これも、上司にそうしろと言われたからそうしたのですが、そういう習慣がついたのは素直にありがたいことだったなと今では思います。
こうして確かめるという作業が多いのが制度会計の人たちです。間違った情報を、外部に出すわけにはいきませんからね。
次に、管理会計の世界にいる人たち。
この人たちは、社内の「えらい人」への報告資料を作ることが主な仕事となります。
僕もやってみてわかりましたが、管理会計というのはかなり思惑が入り込む分野です。
つまり、資料をどう「みせるか」ということです。
この資料の作り方によっては、「えらい人」が納得してくれずプロジェクトがスムーズに進まなかったり、限られた会議時間の中で、議題がそれてしまったりと、めんどくさい事象がたくさん起こります。
よって、管理会計の人たちは見せ方にこだわるのです。
もちろん、嘘の情報を記載することはありません。そうではなく、数ある情報の中から最も有効なモノを選んで資料に落とし込む必要があり、その選別をする必要がある、ということです。
ただやっぱり思惑が入り込んむ余地があるので、もし自分が判断する側になった場合は、可能な限り原点にあたることが大事な気はしています。
(役職が上がると、日々の仕事が「意思決定だらけ」となり、原点にあたる時間は少なくなるんですがね。。。)
制度会計と管理会計で同じようなことしているのに立場が違う(「情報を確かめる側」と「情報を見せる側」)のは面白いですよね!
3.質問はメモを見せながら
依頼された仕事に取り組んでいると、途中でわからない点が出てきました。先輩はすぐ隣のデスクにいます。気軽に質問を投げかけました。
「この点がわからないので、教えてください」
日常的に見られる光景だと思います。
優しい先輩であれば、何も言わず丁寧に教えてくれるかもしれません。
しかし、これは上司や先輩に対して質問するときの極めて悪い例です。
これはですね。
ぶっちゃけ僕は、「極めて悪い」とまでは思わないです笑
質問さえできないという職場がありますからね、世の中には。
コミュニケーションが取れない部署よりは遥かに良い状態かと思います。
ただ、本書にも記載の通り、わからないことが出てきた時にすぐに他人に頼ってしまうと、自分のスキルとして定着しにくいという側面はあると思います。
質問する前に、自分で調べる。
この「スタンス」自体は結構大事なことです。自分のスキルとするためには。
そして、調べて仮説をたてて、メモに書いて、「自分はこう考えたんですけど」という前置きのもと上司や先輩に質問するのです。
そうすると、少なくとも悪い印象は持たれません。準備してきたことがわかるので。
PC画面をハードコピーして印刷し、メモ書きして見せるのも有効だと思います。
ただ、ここからは個人的な見解ですが、
「自分で調べると時間がかかるが、聞けばすぐにわかるもの」
は聞いて済むような職場文化の方が好ましいとは思います。
「質問する際に自分で調べる」という「スタンス」が大事と前述しましたが、これには理由があります。
上司や先輩に気軽に質問できない、という文化の部署では、無駄に長時間労働が助長されるからです。考えてもわからないのに自分で答えをだそうとしますから笑
そのような状態は、これからの時代に相応しくありません。
新人のうちは、職場風土自体を変えるということは難しいと思いますが、もし、運良く(というかそれが当たり前になっていってほしいですが)質問しやすい職場に配属となった場合には、すぐ質問して解決するという処理の仕方も一方で大事、というか今後大事になってくるかと思います。
ただ、会社に入社したばかりの頃は、自分で考えたか、ということが、結構みられてるので、環境に甘えすぎないよう気をつけましょう。
4.脳に負担をかけよ
社会人になると、よほど意識をしなき限り、頭が擦り切れるほど物事を考えるという場面がなくなっていくものです。
本当にその通り。
肉体的な体力は、運動していないと落ちて行きますよね。
脳の力も同じで、使わないとどんどん衰えていきます。
個人的な感覚ですが、最近では勉強していても、集中力が持続しなくなったなと思うことが残念ながらあります。
やっぱ大学受験時代がピークでしたね~笑
僕は簿記と英語を勉強していますが、これがなかったら、脳みそ使わなすぎて、やばいのではないか、と思ってしまうほどです。
特に、経理のような作業型の仕事は、思考停止に陥りがちです。
むしろ無心になって処理した方がいいのかもしれませんが…。
しかしそれでは、自分の「脳力」は落ちるばかりです。大学でてからも何か勉強して、身につけていくという感覚は、結構大事な気がしています。
社会人は、学生と違って、勉強という領域で短期で成果を出すのは難しいですが、1年後、2年後を見据えたら全く異なるはずです。
資格勉強ではなくても良いので、何か「脳に負荷をかける」ことを継続するのがよいと思います。
5.ミスをしたら再発防止の仕組みを考えよ
世の中には同じミスを何回も繰り返す人というのが必ずいます。
ほかの会社の友人の話を聞いていても絶対いますね。
どの会社にもある程度こういう方はいるのではないでしょうか。
僕もミスをしたことがあります。
しかし、同じ指摘は基本的に2度と受けないように対策を練ります。
今は何かするとすぐパワハラになってしまうので、「何度も言わせるな」といった直接的な表現は避ける方が多いと思いますが、どうしても態度や声色にでる場合はありますよね…
同じミスを何回もすると、単純に信頼を失います。
仕事を任せたくなくなります。
まあ、仕事ないならないで良いという人もいるんですけど、新人のうちは、「何も仕事を振られない」という状態は、結構ツライのですよ。
もちろん、人間なのでミスは仕方のないことです。
しかし、それに対して対策を講じるかどうかというのは、人によって分かれるところです。
仕事というのは組織でやるものが多いはずです。
ミスをするのは個人の問題ではなく、仕組みに問題があります。
気持ち・やる気の問題だけで片付けず、ミスを繰り返さない仕組み(レ点チェックする、チェックリストの作成等)をつくるように心がけましょう!
まとめ
1.頼まれたことは必ずやりきる
2.情報は原点にあたれ
3.質問はメモをみせながら
4.脳に負担をかけよ
5.ミスをしたら再発防止の仕組みを考えよ
上記の5点、自分でも意識して仕事していきたいと思います!!
▼最後まで読んでいただきありがとうございます!スターやツイッターなど、ポチッと押していただけると大変励みになります!
【大手メーカーのリアル】~メーカーの抱える問題点について僕が思うこと~
「モノづくり大国にっぽん」
僕たちはそういう教育を、ずっと受けてきました。
そんな僕は、4年前、ある大企業メーカーに就職しました。
最初に工場に配属となり、今では本社にいますが、
就職に悩む人達の役に少しでもたてば良いなと思い、
配属リスクと一生付き合い続ける問題
まず、配属リスクです。
メーカーの場合、全国各地に工場がある場合がほとんどです。
仮に海外勤務になったとしても、田舎の可能性はあります。
実際海外駐在中の方が日本に一時帰国した際に、
僕自身が経験しましたが、
これは相当のインパクトがあるので覚悟してください。
周りを見渡すと、僕だけでなく、不本意な異動(引っ越しを伴う)
残念ながら、多くのメーカーでは、
ちなみに同年代の配属ガチャで負けた人々は、
(希望とは異なる僻地に飛ばされ、戻ってこれる見込みが薄い人々(僕もそうですが)のことです。)
これは僕の企業だけではなく、メーカー全体として、
同期から2~3年上の先輩くらいまでの動向は、
あるメーカーでは、田舎の工場に配属となって、
配属された先で、
そしてこの問題は、若手の間だけではなく、
そして、このことは、離婚している人の多さにも起因します。
とくに望まぬ転勤をさせられた人ですね。
いや、実際にはなぜ離婚したのかはわからないですよ?
でも、海外の僻地や、田舎の工場に配属となる人ほど、
また、「ある程度異動希望は聞いてもらえる」という就活時の触れ込みは、多くの場合、嘘です。
よほど職種を限れば別なのかもしれませんが、
あったとしても、若いうちだけです。
歳をとればとるほど、話は聞いて貰えなくなりますよ。(と、ある
エース部署ほど若手が辞める問題
これはおそらくメーカーに限らず、
誰もが知ってるA商品!!
これからを担うB商品!!!
などを扱う部署では、多くの場合、
特に工場から本社に来た僕は痛感するのですが、本社は圧倒的に「
複数の偉い人の予定をみて、秘書さんに電話して、会議を押さえて
とか、ザラです。
もちろん大事なことですが、
エース部署には、見込みのある人が配属される一方で、
また仕事自体が「役職ありき」になってしまっているのも問題ではある
年功序列であるがために、
理論よりも、役職(誰の意見なのか)が大事なのです。
僕の企業に勤めているひとの中には、
「この20年間、優秀な人から辞めて行った」
と言う人さえいます。
僕個人としても、この会社に残っているのは
「やりたいことが明確でなかった」
ただそんな中でも本当に優秀で志ある人がいたりします。
こういう人が陰で会社を回していたりするのですが、
「本社vs工場」の対立構造問題
工場と本社はしばしば対立することがあります。
工場にいる若くて優秀な人は、本社に引き抜かれていくため、
そして常に、
本社は、指示する側
工場は、指示を受ける側
という構図になります。
あるべき論を語るのはいつも本社の人間です。
そしてそれをうまくやりくりするのが工場の人間です。
ちょっとわかりにくいので説明します。
本社がある方針を出したとします。
たとえば、「来年の予算は〇〇しなさい。」と。
(簡単な例でいくと、「固定費を抑えなさい」とかです。)
で、その対象となる工場や部署はたくさんあるわけです。仮に、
修正指示を受けて修正、
指示を受けて修正…
などしているうちに、時間切れになるわけです。3月決算の企業の
この辺をどう「かわす」
ただ、長く本社で仕事している人からすると、この「かわす」
「あるべき姿は〇〇なんだから◇◇しなさい」
本社の人間はこういったスタンスなわけです。
でも、工場からすると、論理的に考えて、
本社の人間は、目標が達成できなかった時に理由を探して工場を責め
工場からすると、
「頭が良くて給料もたくさんもらってる高級取り達が、
こういう風に見えるわけです。
実際この側面は否めません。
指示を出すばかりで、具体的にどうすればいいのかは、
こういったことが、本社と工場の対立構造の根本にあります。
また、本社でしか働いたことのない社員の中には、「
もちろん、この意見に他意はないことはわかりますが、
望まぬ転勤を経て工場にきて、
そういう人たちに対して「羨ましい」は何とも言いがたいです。
さらに、工場が本社の人たちの出世のポジションと化している部分も
長く工場で経験を積んでいる人が上に上がれず、
工場で長く経験を積む人はその工場の近辺出身の方も多いため、
連れて来られる本人もまた、
やはり転勤問題は、日本全体の問題ではあると思います。
明らかに出世は女性に不利にできてるだろ問題
男女平等社会はもうとっくに達成されたんじゃないかと。
ゆとり世代の僕は安穏とそう考えていたわけですよ。
ただ実際はそんなことないです。
僕の会社では、海外に行かないと出世は頭打ちです。
もちろん駐在ベースです。
しかし、子供もいて、夫も働いていて…という女性にとって、
これだけダイバーシティとか、
結局多くの人は、仕事を労働時間と区別できず、
本当に管理職としての適性/能力があるか、
それも、転勤してきた人に有利ですわ。
そりゃそうですよ、言い方は悪いですが、この会社にいたら、
それくらい格差があります。
まあ、そんなこんなでずっときてしまっているので、
思うに、
その方が楽だからです。
周りも納得してくれます。
なぜなら、そういう文化だからです。
ここに疑問を持つ人はあまりいないはずです。
そういうことで、
ほかのメーカーでもそうです。
でも、結局その差が、
よって、人事評価も転勤ありきになってしまっているのが、
「情けは人の為ならず」
とよく言われますが、
日系大企業は
情けで人事評価する文化が根付いてしまっていると思います。
労働組合機能してなさすぎ問題
メーカーに限った問題ではないですが、僕の企業でも、
労働組合というのもですね。
地域とか支店によって強さが異なったりするんですよね。
つまりそれは、企業と組合員の間で何か問題が起きた時に、
これはですね。
企業に勤める人ならわかると思いますが、
つまり、僕らはお金払ってるわけです。
でも、労働組合が労働問題の解決に「しっかり」
「労働者の保護」が労働組合の存在意義のはずなのに、
企業内部の謎の飲み会
謎のイベントの開催(
新人による出し物(時代錯誤の新人芸)
いいですか、これは、今の若者からすると、うんざりです。
それに加えて、謎の政治活動にも参加させられます。(
それにもかかわらず、本当に重要な、
「労働環境の改善」には全くといっていいほど貢献していません。
もう存在意義がよくわかりません。
前の部署でパワハラがあったときに、
また、労働組合が企業内の1つの部署に過ぎない存在になってしまってい
労働組合に行ってから総務/労務畑で昇進していくパターンの人も
ということで、「労働者の保護」
大企業あるあるですね。
まとめ
書いてみて思ったのですが、やはり、今の日系企業のあり方は、
これからの時代は、給与やその他諸々の条件が変わらなくても、「
大企業は、今までの大企業ブランドに胡座をかいていると、
以上!
▼最後まで読んでいただきありがとうございます!スターやツイッターなど、ポチッと押していただけると大変励みになります!