メーカー経理マン雑記

学生時代には経理になるなんて全く考えてなかった人のブログ。経理の実態、就活などについて思うこと書きます。

AI時代を生き抜くために経理に必要な5つの課題

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経理業務はシステム化の余地がたくさんあります。

 

AIの導入もあり、将来的に経理はなくなるとまで言われています。

 

しかしながら、実態として、経理のシステム化は僕が思ったほど進んでいませんでした。

 

その実態について、メーカーに勤務中のゆとり世代による意見を述べていきます。

 

 

1.経理は予算がない

 経理という部門は、コストセンターであり、利益を稼ぐ部門ではありません。

 

これは残念ながら当然のことで、利益をとってくるのは、基本的に、営業部隊となります。

 

多くの会社において、管理会計の世界では、「予算」が非常に大事になってきます。

 

毎年1~3月あたりに次の年度の予算を決めて、それに向かって、営業部隊は利益を上げるし、工場は、経費削減に望みます。

 

特に大企業では、予算を取ってくるというのが、何をやるにしても、非常に重要になってきます。

 

結局、予算がないと、やりたいことがあっても、やらせて貰えないからです。

 

ここで、経理という部隊に視点を写してみます。

 

経理は予算の取りまとめをする部隊でもあります。

 

ところが、経理自体は、利益を上げる部署ではないので、そのコストの大部分は労務費になるはずです。人件費ですね。

 

利益をあげることのない、コストセンターである経理部隊は、予算を取ってくるのも一苦労だったりします。

 

というか、予算を取りにくい部署です。

 

基本的に、経理は予算をとるということをしません。

 

よって、新しいシステムを導入するための経費を発生させることができません。

 

ましてや、予算を管理する部署が、予算未達では話になりませんしね。

 

そういうこともあって、経理は作業をシステム化させるための費用を予算化させることが難しいということが、往々にしてあるのです。

 

 

2.経理は内向き

経理部隊は一般的に、保守的だと思います。

 

これは、経理の作業にルーティーンが多いことが起因しています。

 

決められた作業をしていれば、文句を言われることはありません。

 

よって、必要な人員さえ確保されていれば、わざわざシステム化して、効率化を目指すことはありません。

 

システム化自体も、各部署への説明や、業務フローの変更を伴うため、大仕事となるからです。

 

僕も、経理業務システム化の仕事をしたことがありますが、現行の業務フローを見直し、システム自体を使いこなす必要があるため、時間がかかります。

 

よっぽど問題がなければ、システム化自体が大変な業務となるため、誰もやりたがらないというのがあると思います。

 

また、経理という生き物は、社外の人と接触する機会がほとんどありません。

 

企業の内部の人間としかやり取りをしないため、世の中の流れが、本当に見えてきません。

 

今はITの時代なので、便利な会計システムがたくさんあると思います。

 

しかし、一般の経理がそれに触れる機会は絶望的に少ないため、普段の業務フローに疑問を持つことも少ないのです。

 

内向きな仕事であるために、革新的な変化をさせることに消極的な部署であると言わざるをえません。

 

 

3.Excelでがんばりがち

予算実績管理ひとつ取っても、システムが導入されているか、そうでないかは大きな違いです。

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多くの経理系の業務は、頑張ればExcelでできてしまいます。

 

決められた計算ができ、決められた資料を作ることができれば、多くの場合、経理としての業務は全うすることができます。

 

個人的には、ルーティーンはシステム化するべきだと思います。

 

突発的な対応をせざるを得ないときは、システムから数値をExcelにダウンロードして、それを加工しにいくことも必要だと思いますが、ルーティーンでさえ、システム化されてないことが少なくありません。

 

また、Excelでがんばろうとおもえばがんばれてしまうことも、システム化が進まない、大きな要因の一つです。

 

今までExcelでやっていたから、

Excelでできているから

 

という理由で、システム導入まで行かないことがあります。

 

これは、管理職の人や、権限を持つ人が、末端の業務まで管理できていないことにも起因しています。

 

簡単にできると思われているのです。

 

ところが実際にはExcelを加工したり、数値のミスがないかチェックしたりするのには、思ったより時間がかかります。

 

Excelで頑張れば頑張るほど、業務がシステム化されず、能率が上がっていかないことは、経理業務がなかなかAI化しない大きな要因の一つです。

 

 

4.システムに強い経理はなかなかいない

経理とシステムは切っても切り離せません。

 

業務効率化を考えたときに、システムの中身まで理解していることは、大前提としてあるからです。

 

ところが、経理は基本、ルーティーンをしていればいいため、システム上、どのような処理がなされているか、興味を持つことがなかったりします。

 

というか、興味を持っても、システムが古すぎて、システムの内部で何と何が、どのような繋がりを持っているのか、知っている人がいない、という事態が、往々にして起こります。

 

かくして、経理業務はブラックボックス化」されていきます。

 

とくに原価計算なんかは、この傾向が顕著です。

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システム上、どのような計算がなされているか、わからなくなってしまうのです。

 

このようなことは、自分で知ろうとしない限り、わかることはありません。

 

また、システム部門に人脈がないと、気軽に聞けるものでもありません。

 

人脈があったとしても、そのシステムの担当者でないと、わからないこともたくさんあります。

 

こうして経理はシステムに弱くなっていきます。

 

システム導入を担当したり、教育をうけたりしないと、システム上の繋がりは、わからないことが多く、システムに強い経理というのはなかなか多くはありません。

 

 

5.経理にはシステム化できない業務も多くある

AIの発達により、経理に対する風向きは厳しいものがあると思います。

 

ただ、経理をやった人間しかおそらくわからないと思いますが、全ての経理業務をシステム化するのは不可能です。

 

僕はゆとり世代なので、ITと一緒に育ってきました。

 

よって、システム化できるものは、全てシステム化すべきだと思います。

 

その方が楽だからです。

 

でも、経理の業務の全てをシステム化するのは無理があります。

 

それは、経理業務にグレーな部分が多分に含まれているからです。

(悪い意味ではありませんよ)

 

経理というのは、会社法や、会計原則、法人税法など、会計・税務に関する法律を知っている必要があります。

 

例え知らなくても、怪しい事例があれば、原文から見直すこともよくあります。

 

法律というものは、得てして、抜け穴があるものです。

 

グレーな部分があるのです。

 

これは法を犯すということではなくて、解釈によって、判断が変わるということです。

 

そのグレーな処理まで、AI化するのは、正直、不可能だと思います。

 

例えば、固定資産の処理で、

これが、資本的支出なのか、修繕費なのか。

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簿記を学習したことがある人ならわかると思いますが、資産の価値を高めるためのお金は、固定資産として処理しますが、原状回復のための費用は、固定資産にすることができません。

 

簿記の試験なら、最初から、どっちにするか指示がありますが、実務はそうはいきません。

 

詳しくは国税庁のホームページを確認してほしいところですが、結局のところ、この処理や判断は、主観的なところもあり、どこまでいってもグレーです。

 

このような判断をAI化するのは、難しいところだと思います。

 

 

まとめ

 個人的には、経理業務はどんどんシステム化すべきと思います。

 

人がやる必要あるの?という作業も多くあるからです。

 

問題は、それを取り巻く環境にあります。

 

また、AI化するのが難しい業務もあるため、人間はそこを担当するように、役割を変えていく必要はあると思います。

 

とはいえ、みんの自分の業務がなくなったら困るので、あまりモチベーションも高くない、というのが実情です。

 

経理のAI化は思ったより難しいのです。

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