経理含むホワイトカラー削減のために業務を外注する選択はそろそろ本気で増えてくると思う
AIや作業のロボット化が叫ばれている昨今、経理業務の一部を外注してしまう会社を見つけました。
経理・人事業務の7割を外注するとのことです。
それにしても「7割」というのはなかなか衝撃的な数字です。
ほとんど外注してるじゃん。
僕も「スーパードライ」にはお世話になっていますがなかなかの辛口判断です。
プレスリリースをよく読むと、外注する業務の具体例としてあげられてるのは会計伝票処理、債権債務管理、などですので、制度会計寄りの作業が多いのかなと勝手に思っています。(あくまでも想像です。)
外部への業績報告がメインとなるのが制度会計
社内への業績報告がメインとなるのが管理会計
「制度屋は今後辛い思いをするかもしれない」
と、言われたことがあります。
海外の企業では、制度会計の分野を外注することが増えてきているため、その流れが日本に来ると、どうしても削減される側、つまり、外注されてしまい仕事がなくなる側、になってしまうということでした。(外資特化型転職エージェント談)
当時、制度寄りの仕事が多かった僕は、「確かに今の仕事、別に他の会社の人でも、手順さえわかればできるな…」と、妙に納得してしまったことを覚えています。
では、メーカーにおける外注の状況はどうでしょうか?
メーカーにおける仕事の削減と言われると、真っ先に思い浮かぶのは工場での肉体労働の削減です。
そして、従来、「固定費削減」と言われると、現場で働く人たちの労務費を削減しようという考えに至る人が多かったかと思います。
ブルーカラー削減の実態
まず、生産効率をあげようとしたり、製品品質を上げるために、最新設備を導入すると、その分人手が掛からなくなることが通例です。当然、その分人を減らす方向になります。
かつて日系メーカー各社はこの手の最新設備導入によるブルーカラーの労務費削減で、大きく飛躍しました。
モノを作るのに人の手が多くかかっていた時代のことです。
最新設備を導入することによって、減らせる人手も多かったのです。
そもそもの人数が多いですから。
一方、近代化の進んだ現代では、人手はほとんどかからない、といった製造現場も珍しくありません。実際僕も、自動化の進んだ工場を少なからず目にしてきました。
しかし、本社からの固定費削減の指示は、毎年やってくるわけです。
「予算対比〇%固定費削減じゃ!!」的な。
メーカーは設備の減価償却費を中心とした莫大な固定費を抱えながら操業せざるを得ないため、固定費管理は至上命題です。(固定費管理自体はとても大事なことです。)
そして、このようなときに工場はどういうことをするかというと、
「作業を外注する」のです。
とはいえ、素人に外注するわけにもいかないので、当社の場合は関係会社に作業を外注しています。
こうすると、管理上、従来、労務費(固定費)であった費用が、かからなくなり、外注先から請求される請負費(変動費)となるため、固定費の削減となるのです。(結局費目のいれくれだろというツッコミは置いておいて…)
おそらくこのようならことは多くの日系メーカーで行われてきたはずです。
ホワイトカラーの削減
ホワイトカラーの削減はどうでしょうか。
これ、実は、まだ多くの企業で進んでいないのではないかと思います。
思うにブルーカラーの削減はもう限界まできています。
AIなどなくても、すでに相当な自動化が進んでいるのです。
よって、 「労務費削減」という観点からすれば、これからのブルーオーシャンは間違いなくホワイトカラーです。
そして、真っ先に削減対象となるのは、我々管理スタッフの業務になると思います。
ホワイトカラー削減の方法
工場現場の人手を削減するには、やはり新しい設備を導入することが一番早いです。お金やスペースのことを考えなければ、ですが。
その後、ある程度自動化が進んできた段階で、簡単な作業は外注するというのが考えられます。完全ではないですが、外注にすることによって、費用をある程度コントロールすることができるようになります。
生産量に応じて、費用をコントロールできるようになる、ということです。
もちろん、人手削減ということ以上に、設備導入によって品質やリードタイム面で競合他社に対して優位に立てることもあるため、好むと好まざると、メーカーは設備導入には相当気を遣っていると思います。人を減らしたくても減らしたくなくても、どちらにせよ、設備導入はしなければなりません。
これに対して、ホワイトカラーの作業はどうでしょうか。
ホワイトカラーの作業はいきなり外注できるんですよね。
というか、その方が早いと思います。
日本企業のほとんどは、AIやRPA(ロボディック・プロセス・オートメーション)をホワイトカラーの業務削減にうまく活用できるほどのノウハウを持ち合わせていません。
そうであれば、そういうノウハウを持った企業にそのまま作業を外注するのが一番早いです。
ブルーカラーの場合、現場には会社特有のノウハウがあったりしますから完全な他社への外注はなかなか難しいですが、ホワイトカラーのほうは、外注すべき作業を見える化できれば、比較的すばやく、AIやRPAに強い企業に外注することができてしまうと考えられます。
ホワイトカラー削減とブルーカラー削減の違い
大抵の会社では、部署ごとに所用人員の数が決められていると思います。
A部署は8人
B部署は12人…
といったように。
ブルーカラーの人員削減にはからくりがありまして、それは、仮に最新設備を導入したとしても、業績が拡大していれば、人を削減しなくても済むということです。
生産量が増えれば、当然、その分人手がかかります。最新設備を導入すれば、その分人手は削減できます。理論上の、設備導入による人手削減と、業績拡大による人手増加がトントンとなれば、人を減らさなくて済みます。
特に日本企業はこういう考え方で操業してきた会社が多いのではないでしょうか?簡単には人を辞めさせられないですからね。
これに対して、管理スタッフの業務は、業績拡大とあまり関係がないですよね。
要するに、「削減しやすい」状態にあると考えられます。
実際、管理スタッフの業務には無駄が多いです。
会社の古くからの慣行、実際に使うかどうかわからない大量の会議資料作成、時代にそぐわない社内ルール等に、時間を費やしている人がたくさんいるはずです。
よって、これからは、管理スタッフ削減を中心に、労務費削減は進んでいくべきです。
僕が工場にいた時、現場の方々は、「たった」10万円でさえ、予定外の費用の発生を嫌がりました。「なんとかしてくれ」と言われたこともあります。
(なんとかしてあげられませんでしたが…)
正直言って、本社の人間と、コストに関する意識が雲泥の差です。
本社の人間は無駄な作業を続けている人(もしくは社内慣行等の諸事情ででそうせざるを得ない人)が少なくありません。
コスト意識も、工場に比べれば、相当に低いです。とくに労務費ね。
コスト意識が強ければ、謎の「あるべき論」で残業時間が増えたりはしません。内定辞退した就活生をわざわざ呼び出して説教したりしません。その時間がコストですから。
こんな人達が、工場に対して「固定費削減!」などと声高に叫んでいるのは大変悲しいことだと思います。
管理スタッフ削減の方向性
管理スタッフの削減には、まず、自社でAIやRPAの運用を進めいていく方法が考えられます。
ただ、これには問題があって、管理スタッフの場合、作業が自動化してしまったら、人が減らされますよねー。
「業績拡大してれば人は減らさなくていいよ^ ^」
とはならないですよね。明らかに。
業績とか生産量や販売量などと、スタッフの業務は関係ないですからね。
そもそも何もノウハウのない状態から作業の自動化を進めるのって結構難しいと思うんですよ。
その上、「自分の仕事がなくなる」と社員に思われてしまうと、なかなか自動化を進めてもらえなさそうです。仮にその社員達を辞めさせるつもりがなくとも、です。
よって、最初からAIやRPAに強い企業に作業を外注しちゃおう!となるのですね。
もちろん、損益分岐点という問題はあると思います。
つまり、自社で人を持ちながら事務作業を処理していくのにかかる労務費を中心とした諸費用と、作業を外注した時に相手会社から請求される費用と、どっちが安いか、ということです。
ただ、外注先で、作業がロボット化していけば、費用はどんどん安くなると思います。対して労務費は、上がる一方です。
年功序列なんで。
僕が経営者なら、外注する方が魅力的にうつると思います。
まとめ
・管理スタッフの仕事は外注しやすくなっていく
・経理でいうと制度会計寄りの仕事はとくに要注意!
外注しやすくなるとはいえ、経理関係のシステムはやはりその会社の経理の人が導入したり、改善したりしていくことが多いです。
ITに強い経理になることが、今後生き残るためには必須条件かと思われます。チャンスがあるなら手を挙げて、そういう仕事に携わっていくことが大事かもしれません!
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