大企業メーカーに就職した人が会社をやめる5つの理由
僕が入社したのはいわゆる「大企業」です。
入社してから気づくことも多くあります。
メーカーであるため、コンサルや銀行ほど、「3年後離職率」は高くありません。
*3年後離職率:新卒入社者のうち3年以内に離職した人の割合
しかし、実際にはその後、3年を過ぎたあたりでやめる人は少なくないのです。
このことには入社してしばらく経つまで気づきませんでした。
今回は何故このようなことになってしまうのか、考えてみます。
- 1.就活で「仕事の軸」や「やりたいこと」を固めすぎる
- 2.やりたいことは変わって行く
- 3.やりがい、勤務地、給料
- 4.メーカーにありがちな伝統的日本企業の気風が合わない
- 5.「ヤンキーから博士まで」人材の多様さ
- まとめ
1.就活で「仕事の軸」や「やりたいこと」を固めすぎる
現代の就活では、まだ社会人として働いたことのない学生たちに、
会社選びの「軸」を聞くのが定番となっています。
エントリーシートや、面接でもガンガン聞かれます。
会社選びの「軸」とは、例えば、
・目に見えるモノに携わりたい
・新しいことに挑戦する気風がある
などといった、会社選びの基準となるものです。
またそれをもとに、入社後どうなりたいか、何をしたいか、なども聞かれます。
例えば「営業として、よいモノを世の中に広めたい」とかです。
こんなざっくりした回答では、おそらく落とされるので、より具体的に、
「3年後までに○○をして、5年目には△△をしていたいです。」
というところまで決めます。
しかし、実際には配属された場所が、人事や経理だったりするのですね~。
もちろんその逆もまたしかりです。
理系で技術職として入社する場合には、
「新しい技術で新製品を開発したい」と思っていても、実際には配属先の事業のマーケットは成熟期に入っており、新製品の開発というよりはひたすらにコストダウンを追求する部署だった、などといったことがあります。
入社後の展望を自分の中で固めすぎると、配属が希望に沿わなかったときに、不満として出現します。
個人的には、この問題は就活生というよりは、日本の就活システムの不備な気はしていますが…。
将来のキャリアプランについて詳細に聞いてくる割には、入社後に、希望の部署にいけないこともあります、というのは明らかに矛盾しています。
じゃあ聞くなよ、と。
採用する側の企業としては、就活生のキャリアプランを聞いて、
「それってうちの企業じゃなくてもできるよね?」と言いたいのです。
特に最終面接などでは、良い人材を選ぶというよりは、
いかにして就活生を落とすか、という問題になりますから。
対策としては、配属は希望に沿わない場合もあると自覚しておくことくらいしかないです。ただ、面接では、「なぜそう思うのか?」が頻繁に聞かれますし、主張したことが論理的でないと、説得力が欠けてしまうため、就活生は自分の「やりたいこと」を一生懸命準備するのです。
そのうちに自分で描いた将来的なロードマップに固執してしまうようになります。
うまく希望通りに配属されればいいですが、そうでなかった場合にはやめる人もでてきます。
2.やりたいことは変わって行く
就活のときにはある程度やりたいことを準備して、うまくその会社に入社できたとしましょう。
その後、社会人として仕事していく中で、自分が本当は何をしたいのか、変化してくる人も多くいます。
たまたま、購買部門の方と懇親会で隣になり、話をしたことがあります。
その方は、中途採用された方でした。
前の会社は、物流会社だったそうです。
荷物の配送を主とする業界ですね。
その方いわく、働いているうちに「物流の仕組みは荷主が構築している」ということに気づいたそうです。物流会社は、荷主の依頼に基づいて、モノを運ぶだけだ、と。
(物流に携わっている方がいましたら、すいません。この方の認識ではこうだった、ということです。)
前職では「もっと効率よく運ぶにはこうしたらよいのに…」と思うことも多くあったそうです。
そこで、企業の購買部門で募集をかけている会社を中心に転職活動をして、今の会社に入社したということでした。
これは実際に働いてみないとわからないことだなと、感心させられた記憶があります。
このように、入社してから、色々な仕事を経験する中で、「やりたいこと」は変わってくることがあります。
また、今回の事例では、新卒で、購買部門中心に就職活動をするのは非常に難しいため、特定の部門に職を絞るのは、転職の醍醐味の一つである気はしています。
3.やりがい、勤務地、給料
入社後の満足度は、実際にはこの3つのバランスに左右されると思います。
これが3拍子そろっている人は稀であると思います。
特に、大企業では社内でローテーションがあるため、仕事内容と勤務地は、ある程度流動的となってしまいます。
周りの人のレベルによっても、やりがいは変わってくる可能性があります。
家族を置いて、単身赴任で工場にきた、という方も僕の会社には少なからずいますが、これ、結構きついと思いますよ。
管理職くらいの年齢(40~50代)でいきなり見ず知らずの土地で、周りに家族もいなければ、会社以外で所属してるコミュニティもないとなったら、休日何をするのでしょうか。
そういった意味では、「やりがい、勤務地、給料」が永久に揃うのは厳しそうです。
入社後にそういうものを感じとり、早いタイミングでやめて行く人もいます。
どの事業部に所属するか、最初にどこに配属されるかによって、ローテーションのパターンが異なることもあるためです。
これも入社してみないとわかりません。
4.メーカーにありがちな伝統的日本企業の気風が合わない
最近の就活や教育の現場では、「グローバル人材」という言葉が声高に叫ばれます。
海外にいって、英語を使ってバリバリ仕事するような人たちのことです。
最近の就活の現場では、企業側もこれを意識してか、グローバルに活躍できることをアピールします。
ところが、実際入社してみると、配属先によって、いける国が限られていたり、海外は年齢が上がってからだったりと、想定と異なることがあります。
技術職として入社した人で海外研修に手をあげたら、「うちの部署からは無理だ」と言われてしまったという事例もあります。
(その人は入社3年目にしてコンサル会社に転職しました。)
このように、前例至上主義なのもメーカーにはありがちな考え方です。
日本の大企業メーカーは、随分昔から存在している会社が多いため、このような日本的な気風が合わなかったり、時代遅れに感じてしまったりすると、辞めてしまうのです。
あとは、年功序列が未だに制度として定着していて、チャンスが与えられないことに不満を抱えるひとも多いようです。
5.「ヤンキーから博士まで」人材の多様さ
特に工場勤務だと、高卒で入社して「絶対この人昔ヤンキーだったな笑」と思う人がいることに気づきます。
個人的には、これは結構面白いことだし、そういう人と関わる機会があるのはメーカーの良さだと思っています。(昔、というだけで今はヤンキーではありませんよ)
ただ、中高一貫校で教育を受けてきたり、ずっと大学院で研究をしてきた人からすると、これが耐えられないこともあるのですね。
20代中盤くらいまで一生懸命勉強してきた人からすると、自分の周りは、自分と同様に長い間勉強してきた人で固めたい、という考え方も一方であるのです。
高卒、高専卒の方でも、入社してから本当に勉強熱心だなと思う方はたくさんいるんですがね。
まとめ
会社をやめる理由は人それぞれです。
今の時代、最初に入社した会社に最後まで勤め続けるという意識で就活するのはよくない気もします。
「数年は様子を見て考えよう。」
これくらいの認識で就活すると良いかもしれませんね。
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